ウクレレが現在のような人気アイテムになる事など、誰しもまるで予想していなかった80年代末。 折しも日本は空前のバンドブーム。 巷では、普段どんなにクズのような生活をしている少年であっても、髪を立てギターを抱え皮ジャンに扇情的なメッセージやイラストを描いておれば、誰でもチヤホヤされていた頃ですが。
ウクレレを手にした10数名から成る、「大英帝国ウクレレ交響楽団」ことThe Ukulele Orchestra of Great Britain(以下UOGB)というヘンテコなグループが、アルバム『ウクレレ変奏曲』でデビュー。 「ウクレレなのにイギリスはロンドンから?」「なんと『ワイルドで行こう』や『サティスファクション』までウクレレで!」ってんで、一部のモンド音楽好き(物好き)な人々の間では、結構な話題になっておりました。
当時の邦パンク音楽主義者の中にも、その存在くらいは知った人もいるくらいで...って、俺だけど。 でも聞くとこまではいきませんでした。 そのわずか1年後には東京で、我らがウクレレアフタヌーンが発足し、自分もウクレレを手に参加することになるとは、夢にも思わず。
以来、あちらでUOGBは精力的に活動を続けていらっしゃる、というのを遠目に見つつ、ウクレレアフタヌーンは細々と活動を続け、休止したり、リーダーが交代して活動再開、ゲリラライブで大騒ぎと、ロンドンと東京では接点もないまま、それぞれお互いに歴史を刻んでおりました。
さて苦節10数年(?)、今やUOGBにもウクレレアフタヌーンにとっても、好都合な世となりました21世紀。 久し振りの日本発売となる新作『シークレット・オブ・ライフ』を引っさげて、UOGBが来日ツアー! これは是非とも拝見したいと思い、心待ちにしておりました。
さて公演も一週間後に迫ったある日に、届きました一通のメール。 ええなんと!UOGBのメンバーである、Willさんて方からでした。
「Hello Ukulele Afternoon!!
貴方達の姿は、ロンドンのそこいら中で見かけましたよ。 例のクラークスの広告でね!」
うわぁびっくり。 だって件の広告キャンペーンなんて、始まってからもう一年も経っていて、イギリスではi-Dとかの雑誌に掲載され、レコードまで作ってもらったのは確認していたけれど、だからといってその後、ウクレレアフタヌーン宛に海外から、賞賛のメールやオイシイ話とかが来た訳でもなく、なぁにキャンペーンなんて、大した事なかったんじゃないの?などと勘ぐっていたところだったのよぉ。
なんと話によると、我々がモデルになった広告は、特大ポスターが町中いたるところに張り巡らされ、新聞の全面広告にまで登場していたそうなんです。 誰か記念写真くらい撮っておいてくれていないのかな?
それはともかくWillさん、
「私達は来週、日本ツアーに参ります。
ウクレレ好きの日本の方達との交流を楽しみにしています。
それにもちろん出来ることなら、アフタヌーンの皆さんとセッションがしたいっす!」
などと嬉しい事を仰って下さる! そりゃもうこちらこそ宜しくお願いしますと、ライブに伺うのが増々楽しみになって参りました。
さてUOGB御一行様は、3月頭より日本ツアーを開始。 広島・大阪・名古屋と大盛況のステージを終え、遂に7日(日)、東京は渋谷のクラブ・クアトロにお見えになりました。(なんだか日本のウクレレ的に主要な4都市巡礼ツアーに見えなくもないな)
その夜のパフォーマンスについては、あちこちで散々語られていることでしょう。 とにかく素晴らしい、エンターテイメント溢れるステージでした。 おまけにライブが終わってからは、メンバーが客席にまで降りて来て、ファン達としばし交流する、という大サービス振り。
ここで私も、まずはWillさんにご挨拶をしておかなくては...と動くよりも先に、「おお君っ!そのTシャツは!」と、私が着用していた赤毛女のウクレレアフタヌーンTシャツに、リーダーのGeorgeさんが鋭く反応! |
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実はWillさんの本職は、ドキュメンタリー映像の制作。 今回の来日ではUOGBのDVDを作るそうで、ツアー道中ずっとキャメラを回し、ウクレレ愛好家達との交流も記録していました。 そして本日はもちろん、「日本のウクレレ奏者の中で最もクレイジーな集団」として、恰好の対象を捉える意気込みです。 |
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「ウィー・アー・ウクレレアフタヌーン
その後ジャニーズショップ前でも大騒ぎ、行列の婦女子と彼女らを誘導するバイトさん達の苦笑を誘います。 更には世界のGAPストア入口にて、またまた神をも恐れぬ大狂乱。 日本のウクレレ界随一の破落戸ぶりを、存分にアピールしました。 |
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実はこの後も、御多忙だったWillさん達。 同じ日に各方面からの御招待が重なっており、行く先々でカメラを回すつもりだそうです。 しかし東京の交通事情にはまるで明るくないWillさん、ここはウクレレアフタヌーン何名かで、同行する事にしました。 |
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Photos by Ettih, MIOX except for noted