2002年7月21日(日)*世界に向けてゲリラライブ! クラークス広告撮影レポート
7月初め、ある日のことでした。 それはそれは唐突に、海外イギリスよりメールを(日本語で)頂戴致しました。
えー...とある企業の広告キャンペーン、その広告制作を請け負っているプロデューサーの方、ですか。 で?
そのキャンペーンの写真モデルに? ウクレレアフタヌーンをですか? 使いたいって???...はあ?
私そんなのに応募した憶えはありませんよ! まさか!...訳のわからない勧誘メールじゃあるまいし、御冗談を...わわわ、本当にイギリスから電話がかかってきちゃいましたよ(日本語で)。
ええ、ええ? 本当なんですか? じゃもう、我々さえOKなら決まりなんですか? えっ、YahooでうちのHPを見つけて、クライアント役員の方々もみんな見て、すごく気に入って是非にって言って下さっているって?!? 撮影の為にスタッフも来日するってえぇ?? そんなっ! アフタヌーンの為に、イギリスから人が動くだなんてこと...実際にあり得るんですかっっっ!!!
兎にも角にも、私どもに好意を寄せて下さる方の為なら、そのお話引受けない訳には参りません。 なんと、大英帝国の老舗靴メーカーであり、全世界に支店を持つ、クラークス!!! そのClarks ORIGINALSというブランドシリーズの、世界規模の広告キャンペーンに、イギリス本社ジキジキの依頼に寄り、なぜ?どうして?ホワイ?ウクレレアフタヌーンの勇姿が登場することになりましたああっ!!
このキャンペーン、「DOING OUR OWN THING」をテーマに「私達は私達のやりたい事をやっている、仕事としてではなく、楽しむ為に」というメッセージを投げかけるものでして、世界中から色々な団体が写真モデルとして選ばれました。 選考基準には「それぞれの国の伝統とは関係ないことをやっている」というのもあり、要は偏屈で物好きな団体を世界中から探し出したんですね。
ちなみに、他に被写体となったグループは
「イタリアで、アボリジニ(オーストラリア先住民)の必需品であるブーメランに凝りまくり、本格的な装飾を施して鑑賞し合ったり大会を開いたりしているオヤジたち」
「イギリスの、女の子だけで結成した水中バスケットのチーム」
「サンフランシスコの路上で突然、クリケット(イギリス発祥の球技で、野球の原型になったと言われるスポーツ)の真剣勝負を始めるキッズたち」
などでして、日本代表ウクレレアフタヌーンはさしずめ
「日本人なのにハワイの楽器ウクレレを手に、南国気分や和み感をぶっ飛ばすよな乱痴気騒ぎを何十名という暴力的な人数で繰り広げる、正に東洋の神秘、アジアン・エクスプロージョン」ってとこでしょうか。
私もお返しに思います、さすがはモンティ・パイソンを生んだ国イギリス、冗談がお好きですね...。
本番の一週間前、代々木公園に我々が集まっているところへ、カメラマンの吉永マサユキさんがプレショットを撮りにいらっしゃいました。 当日参加予定のメンバーを一人ひとり撮影し、すぐさま写真をイギリスに送るとのこと。
数日後にはもう「写真、大変にウケています」との連絡が入りました。 さすが個性溢るるつわもの共が揃うアフタヌーン、キャラクターとしてはバッチリみたい。
この中でも特に写真映えがする数名には、当日もプレショットと同じファッションで臨むようにとの指事があり、しかも有り難いことに靴まで支給して貰えることになりました。 リーダーの私もそんな数名の中に選んで頂けたのですが...でも私、とっても貧相なコーディネイトだったのに、本当にこんなのがイイんですかぁ!? 頭に巻いているのは貰った旅館タオルだし、半ズボンからむき出した汚い素足にセッタ履きなんですよ。 こんなものにまさか、東洋のエキゾチシズムを感じてしまったのかしら? 「コイツまともな靴も履けないような奴なんだな!可哀想だから支給してやれよ!」ってことでしょうか。 そういえば、お会いしたスタッフからご挨拶にプレゼント頂いた小包は、靴下だった。 あれは英国式ジョークだったのか...。
さていよいよ撮影本番、真夏の照りつける太陽と素晴らしい快晴の下、集まったメンバーは23名。 これから都内数カ所を廻って、屋外ゲリラライブの模様を撮影です。 公にでる写真の為ですから、勿論どこの場所でも既に撮影許可済み。 今日は堂々とゲリラライブサーキットが出来るって訳ですよ! |
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続いてのスポット、参宮橋の駅前に移動です。 駅からすぐの商店街でゲリラライブ、果物屋の前で撮影です。 昔ながらのひなびた雰囲気の店構えが、じつに昭和にワープな感じでイイネ! 果物屋にちなんで「メロンの気持」を演奏です。 けっこう車の交通が激しいので、弾きながら路肩によったり道の真中へ広がったりで忙しいこと。
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気の早いもので、中祝いにてすっかり打ち上がってしまった陽気な御一行は、原宿の「トンちゃん通り」と呼ばれる路地にやって来ました。 日がとっぷりと暮れ、呑み屋やブティックなどの明かりが灯り出す頃、いよいよ最後の撮影です。
今回はアルコールが入っているものですから、誰もがハジけまくり! 「ロックンロール・レディオ」「リラの門の切符切り」「パリ・カナーユ」などタテノリの曲ばかりで、路地狭しと大暴れ! 実にワイルドでエキサイティングなフォトセッションだったのでしょう、結局広告用には、この時に撮った一枚が採用されました。 |
Photo by H~
さて後日談、
カメラマンの吉永マサユキさんは、族、チーマー、コギャルなど爆裂する日本の若者達を、独自の視線で捕らえる写真家として活躍されている方です。
クラークスの撮影からしばらく経った秋口。 「BURST」という雑誌で吉永さんが連載しているグラビアページ「若き日本人の肖像」に、アフタヌーンを掲載して下さるとのオファーを頂きました。
しかし「BURST」といいますと、タトゥー、ボディピアス、ハードコア、レイブ、マリワナ、鳥肌実などなど、ためになる情報満載の男気系ディープサブカル雑誌として知る人ぞ知る、また、主なウクレレ愛好者にとっては全くの無縁な世界、てゆうかまるで対極と思われる価値観が満載の雑誌。 しかもその中でも、件のグラビアといえば普段、仁侠道とか夜の国道を暴走する若者達の生々しい写真を、毎号掲載しているページ。 なぜ?どうして?ホワイ?
とうとう2002年12月号、代々木公園に集う健康的な笑顔が素敵なウクレレアフタヌーンが、本当に掲載されちゃいましたよ! しかもその前後ページは、大麻栽培法や毒キノコ喰いに緊縛写真だの、いつも通りにヤバイ「BURST」のまんま。 その中でポッカリ、逆ブラックホールのように脱力オーラを発する、アフタヌーンの爽やかな笑顔。 なかなかにシュールです。